防災士さん おすすめアプリ
【全国版救急受診アプリ、Q助】の注意点!
災害時には「使えないかも」を考慮して!
この動画の6:20頃から紹介されている【全国版救急受診アプリ、Q助】というアプリについて、確認すべき点があります。
このアプリは、総務省消防庁が管理する公的なもので、リアルタイムで抱えている症状の緊急度判定を行い、利用可能な医療機関などの情報を提供してくれるそうです。緊急度判定プロトコルという基準を元にして作成されているらしいのです。
震災時にも利用が相応しいアプリとして、配信者の方が、動画内で以下のような説明をされています。
『オフラインでも使用することができるため、電波が繋がらない状況でも活用することができます。ネットも電話も繋がらない状況で〜』
しかし、このアプリの利用規約には以下のような記述があるんですね。
当アプリは、災害、事変、その他の異常事態が発生若しくは発生のおそれがある場合又は当庁が設置する電気通信設備の障害その他やむを得ない事由が生じた場合に、当庁の判断により当アプリの提供時間の短縮、提供の中断又は中止を行うことができるものとします。
当庁は、前述に基づく当アプリの提供の中止等によって生じたユーザー又は第三者が被った不利益、損害について、一切の責任を負いません。
利用規約に記載されている通り、災害時には、アプリの提供時間の短縮、提供の中断、または中止が行われる可能性があるんです。
この点について、配信者の方は動画内で触れられていませんでしたから、おそらく、ご存知なかったのでしょう。
また、災害時、アプリが利用できたとしても、別の懸念があるんですね。
利用規約の内容から考えると、このアプリは平常時に利用できる医療機関などの情報を提供してくださっていると推測できます。しかし、災害時は、救急車や医療機関などが大混乱に陥り、平常時と同じような治療が受けられない可能性が高いですよね。ですから、災害時の状況に合わせた情報に切り替わらないのであれば、アプリの情報は残念ながら全く役に立たないものになってしまうでしょう。
と言いますか、現実問題として、災害時の状況に合わせた情報を提供するのは、不可能に近いのではないかと私は思うんです。状況的に難易度が高すぎますよね。
先ほど説明した点が気になったため、実際に私自身の症状でアプリを試してみました。
私自身、慢性的な症状を抱えている病人なのですが、その症状でアプリを試してみたところ、『今すぐ救急車を呼びましょう。緊急度が高いと思われます。今すぐ119番に電話してください。』と指示が出ました。
私の場合、何十年も前から常にある症状なので、正直『今さら!いつもと変わらないし!』と思ってしまいますから、救急車は依頼しません。
これと同じような指示が、震災時にも出るとしたら、ほぼ意味をなさないのではないでしょうか。震災時は、大怪我であっても、救急車がすぐには来てくれず、何時間も(半日ほども)待たされてしまうことが多いのです。その状況で『救急車を呼びましょう』と指示をされたところで、待っている間に、ある程度、自分で何らかの応急処置などを施すしかないのです。
災害時の状況に合わせた情報に切り替わる可能性がゼロではありませんが、アプリが使えない可能性も考慮して対策をしておいたほうが、いざという時に期待を裏切られずに済むでしょう。
【ALLPOWERS S200 ポータブル電源(154Wh/200W)】
修正正弦波(疑似正弦波)の可能性が高いため、要注意!
動画の配信者の方が推奨されている【ALLPOWERS S200 ポータブル電源 (154Wh/200W)】ですが、この製品は修正正弦波(疑似正弦波)である可能性が高いので、注意が必要です。
正弦波ではない製品は、あまりお勧めできません。一般的に、正弦波ではない製品は、相性の悪い電気製品を故障させてしまう原因になることがあるからです。また、正常に動いているように見えていても、数年後に故障してしまうケースもあるんです。
この製品の説明のページには、正弦波なのか、それ以外なのか、説明が書かれていないため、実際の正確なところを知ることはできませんが、正弦波の場合、たいがい『正弦波』と説明が書かれていることが多く、そう書かれていない場合、矩形波もしくは修正正弦波(疑似正弦波)である可能性が高いのです。
たしか、どっかのレビューで『疑似正弦波』と書かれていた記憶がありますので、修正正弦波(疑似正弦波)である可能性が高いでしょう。
USBポートだけではなく、ACコンセントが付いている一万円代のモバイルバッテリー(もしくは超小型サイズのポータブル電源)の場合、ACコンセントの出力が、65w~120w前後で、修正正弦波(疑似正弦波)であるタイプが非常に多いんですね。この製品の説明ページには『出力200w』と記載されています。1万円代の製品のわりには、そこそこ出力が高いほうでしょう。もし、これが正弦波の製品であれば、非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。しかし、価格が安価な製品は、正弦波ではない場合がほとんどです。この製品の価格帯から見ても正弦波である可能性は低いですし、『正弦波』と明記されていないことからも、修正正弦波(疑似正弦波)である可能性が高いと考えられます。
非難をするつもりはありませんので、情報を否定してしまうこと、配信者の方には申し訳なく思いますが、この製品、注意が必要です。
修正正弦波では使えない電気製品の例
以下の電気製品は、正弦波でなければ、正常に動作しない、あるいは故障の原因となる可能性があります。
- 医療機器
- モーター使用の機器
扇風機、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、ポンプ
(故障の原因・動作が不安定になる) - マイコン制御の家電
電子レンジ、炊飯器、IHクッキングヒーターなど
(故障の原因・動作不良) - 精密機器・AV機器
パソコン、テレビ、ラジオ
(ノイズが発生する) - その他
電気毛布・こたつ
(故障の原因・熱効率の低下)
インバーター式の蛍光灯 - ACアダプタ
(動作が不安定になる) - 電動工具
ドリルなど
(故障の原因)
医療機器が使用できないのは、人によっては命に関わるため、正弦波が必須です。
また、これら正弦波でなければ使用できない電気製品のなかには、災害時にも活躍が期待される物がたくさん含まれています。
平常時と違って災害時に安易に使用してしまうと、単なる故障だけはでなく、重大な事故の原因にもなる可能性があるように思います。ポータブル電源やモバイルバッテリーを選び購入する際は、必ず【正弦波】かどうかを確認するよう、お願いいたします。
予期せぬ事態によって、皆様が困惑されることのないように、この記事を通じて色々お知らせをさせていただきました。
拙い説明で、ちゃんと皆様にお伝えできたか不安が残りますが、この記事は、この辺で終わりにしようと思います。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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