乗車中に大地震が発生したら気をつけること!
破損した車両から離れましょう
【ガソリンやオイル漏れによる出火】
大地震の激しい揺れや、他の物との衝突によって、燃料タンク・燃料配管・オイルパンなどが損傷し、ガソリンやオイルが漏れ出すことがあります。これらの漏れ出た液体が、他の様々な現象と連鎖することによって、引火する可能性があるのです。
【電気配線のショートによる出火】
大地震の激しい揺れは、車両の電気配線に損傷を与えたり、配線の被覆(カバー)を破損させたりする可能性があります。その結果、配線が車体の金属部分などと接触をし、ショートを引き起こすことがあります。様々な現象と連鎖することによって発生する、このショートが、引火の直接的な要因となってしまうことがあるのですね。
また、バッテリー端子の緩みによるショートも原因のうちの一つです。特に、年式の古い お車や整備が行き届いていないお車、あるいは、後付けの電装品(カーナビ・ドライブレコーダーなど)の配線に不備がある場合も、ショートが発生しやすくなるため、注意が必要なのです。
【車内可燃物の転倒・衝突による出火】
車内に放置されたカセットボンベ・ライター・スプレー缶といった可燃物は、車内温度の異常な上昇時にも危険を伴いますが、大地震の際には、それとは全く別の要因で火災や爆発を引き起こすことがあります。
大地震の激しい揺れによる転倒や衝突によって、これらの缶類が変形したり、破損したりすると、ガスなどの内容物が漏れ出てしまうことがあります。そして、缶同士の激しい衝突などによって生じた火花が、漏れ出た内容物に飛び散ることによって引火し、火災や爆発につながってしまうことがあるのです。
上記以外にも、様々な要因によって火災や爆発が発生する可能性があります。これらの危険性について、あらかじめご認識いただけると幸いです。
【大きな揺れを感じた際の初期対応】
大規模な揺れを感じられた場合は、ハザードランプを点灯させて後続車に知らせながら、徐々に速度を落としてください。その後、道路の左側(例外アリ)の安全な場所を選んで停車し、エンジンを停止してサイドブレーキをかけてくださいね。
【車を離れて避難が必要な際の対応】
やむを得ず、お車から離れて避難される場合は、キーをつけたままにして、ドアロックはせずに速やかに避難をしてください。これは、緊急車両の通行や消防活動のために、車を移動させる必要がある場合に備えるためです。
避難される際には、周囲に火気や燃えやすいものがないことを確認し、車内にライターやスプレー缶などの危険物を残さないよう、改めて ご注意をお願いいたします。
海水に浸かった車両から離れましょう
何年か前、ある被災者の方が、『つい先程まで自分が乗車していた車が、津波の中で爆発するのを上階から目撃した。もし、まだ、あの車に乗っていたとしたらと想像して、ゾッとした。』とお話しをしてくださいました。
実は、この体験談が、この記事を書く きっかけとなったんですね。
一見すると、大量の水に覆われた津波の中では、爆発や火災など発生しないと思われるかもしれませんが、現実には、海水(衝撃も……)が介在することによって、以下のような物理的な連鎖が不可避に発生してしまうのです。
津波や高潮によって車両が浸水すると、塩分を含んだ海水が電気を通す媒体となり、車両の電気配線やバッテリーをショートさせます。これが爆発や火災の直接的な引き金となってしまうのですね。
エンジンを切っていれば安全だと認識されがちですが、残念ながら、そうではありません。こうした状態であっても、爆発や発火のリスクは持続してしまうのです。さらに、エンジンがかかっている状態では、車両の電気システムが稼働しているため、電気的な負荷が さらに増し、事態は より一層深刻なものとなってしまうでしょう。
海上の火災は、車両だけではなく、その他の様々な要因によっても発生してしまうのです。そして、実際に発生した海上の大規模な火災は、完全に消し止められるまでに12日もの期間を要しました。この事実は、それほどまでに甚大な規模の火災が発生してしまったのだという現実を物語っています。水が豊富にある海の上であっても、火災が これほどまでに激化し、制御不能になるのだという現実を、しっかりと認識する必要がありますよね。
その大規模な火災の様子を捉えた映像を下の動画で ご覧ください。
津波の高さ別 危険度
『海水に浸かった車両から離れましょう』と申し上げましたが、津波は、その高さによって危険性が少し異なります。ここでは、津波の高さ別に、どのような危険性があるのか、その目安を ご紹介いたしますね。
とはいえ、実際に どの程度の高さの波が押し寄せてくるのか。それを正確に推し量ることは、現代の学術的知見をもってしても叶わないのが実情です。
また、以下の説明を追っていただければ、『この地域の津波高の想定は低いから大丈夫だ』という一般的なイメージが、いかに現実から、かけ離れているのか。その認識の危うさと、わずかな浸水が もたらす過酷な現実と、迅速な避難の重要性を、深く汲み取っていただけるものと、そう考えております。
10cm未満
車での走行に大きな支障はないとされています。
しかし、津波はわずかな高さでも流れが非常に速いため、歩行中の場合は極めて危険です。大人でも足を取られ、立っていることが困難になる可能性が高いでしょう。
10~29cm
ブレーキ性能が著しく低下するため、車での走行は非常に危険な状態になります。急ブレーキを避け、ハザードランプを点灯させて後続車に知らせながら、ゆっくり速度を落とし、道路の左側(もしくは高所)の安全な場所へ停車してください。
30~49cm
エンジンが停止し、車が動かなくなる可能性が非常に高まります。この高さでは、車を放棄して、直ちに避難することが求められます。
過去には、この高さで死亡してしまった方がいらっしゃるのですね。
50cm以上
車体が浮き始め、津波の流れに乗って車ごと流されてしまう可能性があります。
70cm以上
水圧によってドアが開かなくなり、車からの脱出が困難になる危険性があります。
このような危険性があるため、対策として【ガラス粉砕ハンマー】と【シートベルトカッター】などを用意しておくと よいかもしれませんね。
もしよかったら、これらの記事も、読んでみてくださいね。
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1m以上
この高さの津波に巻き込まれてしまった場合、自力では立っていられずに流され、漂流物に激突するため、想定の死亡率は、ほぼ100%とされています。
津波は複数回にわたり繰り返し襲来する
津波は一度で終わらず、複数回にわたり繰り返し襲来する特性があります。最初の津波の高さが最大であるとは限りません。実際、第2波や第3波で最大規模となった事例が数多く報告されているのです。そのため、たとえ一度避難ができたとしても、その後も決して気を緩めないよう、十分な警戒をお願いいたします。
避難するにあたって……
『津波から避難するために やむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと』といった注意書きを目にしたことがあります。この原則がある中で、やむを得ない状況であれば、結果的に車を使用することになると考えられます。もちろん、すでに海水に浸水した車や破損した車を使用することは不可能ですが、こうした問題が発生していない状況で、他に手段がない場合、車を使用せざるを得ないケースも考えられます。
しかし、車によって大渋滞が発生してしまい、それによって、逃げ遅れた結果、お亡くなりになってしまった方が多数いらっしゃるという悲しい事実も、目を背けるわけにはいかない現実でしょう。
そのため、この下の動画で紹介しているような小さな乗り物で避難をしたほうが、渋滞を回避できる可能性が若干高まるのかもしれません。
瓦礫の間をクネクネと曲がりくねりながら走行したり、瓦礫の小山を乗り越えたりすることは、原付バイクのような小型の乗り物であっても、その重さや大きさによって十分な問題を引き起こしてしまいます。
また、原付バイクの重みは、身体の弱い方(怪我人や病人など)を押し倒し、転倒させてしまう危険性もあります。
原付バイクよりも小型で軽い【特定小型原付】のほうが、これらの問題を「極わずかでもマシにできる」可能性があるのではないかと、個人的には、そう予想しているのですね。
とはいえ、ご存知だとは思いますが、こうした【特定小型原付】も、決して万能な乗り物ではありません。
その構造上、タイヤの直径が極めて小さいため、地震によって生じた路面の段差やヒビ割れ、あるいは、散乱した わずかな瓦礫に対して、非常に脆い(もろい)という物理的な弱点があるのです。小さな障害物であっても、前輪がロックして転倒してしまうリスクを常に孕んでいます。
そのため、瓦礫によって道が完全に塞がれてしまった状況なども含め、「いざとなれば、どこかに捨て置く」という覚悟を、あらかじめ初めから持っておくことも必要なのでしょう。特定の手段一つに拘りすぎず、その時々の物理的限界を見極める冷静さが必要になるのかもしれませんね。
残留塩分の問題
一度海水によって浸水した車両は、海水が引いた後でも、塩分が電気系統に残留し続けるため、火災や爆発が発生する可能性が持続します。この残留塩分によるショートは、1ヶ月後など、かなり時を置いてから発生し、発火するケースも報告されています。ですから、長期間の警戒が必要なのですね。
車両内外への物品配置に伴う
車両内への防災グッズの配置や、車両周辺への物品の設置を行う際には、火災や爆発の可能性を踏まえ、以下の対策を講じることを おすすめいたします。
- 貴重品や重要な防災グッズなどを、車両内に置かない。
- 壊れて問題がある物を、車両周辺に設置しないなど、様々な面において、火災や爆発のリスクを考慮した上で対策を行う。
車両での避難生活が困難となる
車両を使用した避難生活を計画していても、状況によっては、それが不可能になる可能性があります。車両が必ずしも使用不可能になるわけではありませんが、火災や爆発の可能性を無視してしまうことは、大変危険です。
そのため、最悪の事態まで想定した上で、代替手段を含めた多角的な避難計画を立てておくことが望ましいでしょう。
東日本大震災や近年の台風被害において、冠水した車両が後に火災を引き起こす事例は実際に多数報告されているのですが、それらは「車両火災」として処理され、一般向けの「防災の知識」として体系化されるまでには至っていません。
防災士さん達や一部のYouTuberの方々が、車中泊避難を推奨されているのを見かけることがあります。そういった方々は、きっと善意で発言をされているのでしょう。ですから、お気持ちを否定するようなことはいたしません。そもそもにして、この車両爆発の問題は、防災の知識があれば、知っていて当然といったような内容でもありませんし、熟考することで気づけるような問題でもありません。それどころか、子供を抱える保護者の方々が、避難所で、どれだけ辛い思いをしていたのか、その苦しみを想像し、熟考したからこそ、車両避難を奨励された方も《一部》いらっしゃるのでしょう。その思いや経緯を想像すると、彼らのあり方自体そのものを否定する気にはなれません。しかしながら、そうではあっても、読者の皆様には、それらの情報を鵜呑みにせずに、慎重に判断されることを、おすすめしたいと、そう思っております。
テント避難を諦めないで!
テントでの避難生活も選択肢のうちの一つですが、『庭がない』などの敷地条件によって設営が不可能であると諦めていらっしゃる方が、非常に多いことでしょう。
そのような方の場合には、諦める前に、ぜひ、記事【被災者の皆様のアドバイス 参考にしては駄目なものも一部ある テント編】をご覧ください。これまで不可能だと考えられていたテント設営の可能性を、ほんの少しでも広げる新たな解決策についても解説しています。
この下のボタンから記事に移動できます。
車両火災時の初期消火について
車両の火災や爆発は、無人の状態で突発的に発生する可能性があります。このような事態への対策として、自動で消火が可能なグッズを設置しておくことが、被害を最小限に抑えることに繋がるのかもしれません。
記事【消火に関して注意をしていないと生命の危機につながること】で ご紹介した【初期消火救命ボール ELIDE FIRE BALL】も、そうした自動消火が可能な製品の一つです。
下のボタンから記事に移動できます。
ただし、この製品の特性として、水に濡れると固まる、湿気で性能が低下する、あるいは導火線が湿って着火しなくなるなど、水気に関する様々な問題を所持しています。そのため、津波や高潮などで浸水した車両に対しては、十分な効果が発揮されない可能性が高いでしょう。
例に挙げたグッズは、震災時に浸水とは別の要因で火災が発生した場合に有効となる対策グッズ、とご理解ください。
地震保険・火災保険・車両保険について
地震保険においては、車両は家財に含まれないため、補償の対象外となるケースがほとんどです。
火災保険や車両保険の場合では、地震・津波・噴火によって生じる損害は、基本、補償対象外とされています。
ただし、保険会社によっては、災害時の損害に対して、一部を一時金として、お支払いする特約を用意していることがあります。また、別途セットで契約することによって、一時金が支払われる商品もございます。
こうしたことから、災害による車両の損害補償が必要だとお考えの方は、ご自身のニーズに合った保険の商品を調べてみるとよいのかもしれませんね。
以上で、本記事における情報提供を終了します。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
災害時の火災に関する記事